=encoding utf8
=head1 名前
Jcode - 日本語文字集合ハンドラ
=head1 概要
use Jcode;
#
# 古式ゆかしく
Jcode::convert($str, $ocode, $icode, "z");
# もしくはオブジェクト指向で!
print Jcode->new($str)->h2z->tr($from, $to)->utf8;
=head1 説明
Jcode.pmはオブジェクト的なアプローチと従来からのアプローチの両方を
サポートしています。オブジェクト的なアプローチを使えばこんな感じで;
$iso_2022_jp = Jcode->new($str)->h2z->jis;
こちらよりエレガントでしょう:
$iso_2022_jp = $str;
&jcode::convert(\$iso_2022_jp, 'jis', &jcode::getcode(\$str), "z");
オブジェクトに馴染みの無い人のために、Jcode.pmはまだC<getcode()>と
C<convert()>をサポートしています。
Perlのバージョンが5.8.1以上なら、Jcodeは、Perl 5.8以降の標準的な文字集合
ハンドラモジュールであるL<Encode>のラッパーとして振る舞います。
=head1 メソッド
特に言及しない限り、ここで挙げるメソッドは全てJcodeオブジェクトを返します。
=head2 コンストラクタ
=over 2
=item $j = Jcode-E<gt>new($str [, $icode])
$strからJcodeオブジェクト$jを生成します。明示的に$icodeをセットしなければ、
入力コードは自動的に判定されます。利用可能な文字集合については、下の
L<getcode>を参照してください。
Perl 5.8.1以降では、C<$icode>にはL<Encode>が理解できる
I<どんなエンコーディング名>も使えます。
$j = Jcode->new($european, 'iso-latin1');
オブジェクトを文字列化すると、EUCに変換された文字列が返ります。ですから
C<< print $j->euc >>とする代わりに、C<< print $j >>とできます。
=over 2
=item リファレンス渡し
スカラー値の代わりに、以下のようにリファレンスを渡せます。
Jcode->new(\$str);
これはほんの少し時間を節約します。その代償として、$strの値そのものが
変換されます(ある意味、$strはjcodeオブジェクトに"tieされる"のです)。
=back
=item $j-E<gt>set($str [, $icode])
$jの内部文字列に$strをセットします。繰り返しJcodeオブジェクトを使うときに
便利です(オブジェクトを生成する時間とメモリの節約になります)。
# mailboxをSJIS形式に変換
my $jconv = new Jcode;
$/ = 00;
while(<>){
print $jconv->set(\$_)->mime_decode->sjis;
}
=item $j-E<gt>append($str [, $icode]);
$jの内部文字列に$strを加えます。
=item $j = jcode($str [, $icode]);
Jcode-E<gt>new() の短縮形。以下のようにできます;
$sjis = jcode($str)->sjis;
=back
=head2 文字列のエンコード
一般に、$j-E<gt>I<encoded>とすることでI<encoded>に変換された文字列を得ます。
=over 2
=item $sjis = $j-E<gt>sjis
=item $euc = $j-E<gt>euc
=item $jis = $j-E<gt>jis
=item $sjis = $j-E<gt>sjis
=item $ucs2 = $j-E<gt>ucs2
=item $utf8 = $j-E<gt>utf8
自明でしょう。
WYCIWYG = What you code is what you get :)
=item $iso_2022_jp = $j-E<gt>iso_2022_jp
C<< $j->h2z->jis >>と同じです。
半角カナは強制的に全角に変換されます。
Perl 5.8.1以降では、Encodeがサポートするどんなエンコーディング名と
エイリアスでも利用できます。例えば:
$european = $j->iso_latin1; # メソッド名用に'-'は'_'に置き換えます
B<参考>:L<Encode::Encoder>がこれと同じ小技を使っています。
=over 2
=item $j-E<gt>fallback($fallback)
Perl 5.8.1以降では、Jcodeは内部の文字列をUTF-8で保持します。
I<< -E<gt>encoding >>にマップできない文字は'?'に置き換えられますが、
これはL<Encode>での標準動作です。
my $unistr = "\x{262f}"; # 陰陽マーク
my $j = jcode($unistr); # $j->euc の結果は '?' に
この振る舞いは、L<Encode>同様、フォールバックを指定することで変更できます。
値はL<Encode>のものと一緒です。便宜のため、C<Jcode::FB_PERLQQ>、
C<Jcode::FB_XMLCREF>、C<Jcode::FB_HTMLCREF>がL<Encode>のそれらへの
エイリアスになっています。
print $j->fallback(Jcode::FB_PERLQQ)->euc; # '\x{262f}'
print $j->fallback(Jcode::FB_XMLCREF)->euc; # '☯'
print $j->fallback(Jcode::FB_HTMLCREF)->euc; # '☯'
グローバル変数C<$Jcode::FALLBACK>にデフォルトのフォールバックが保持
されていますので、この値を代入することでオーバーライドできます。
$Jcode::FALLBACK = Jcode::FB_PERLQQ; # デフォルトのフォールバックスキーマを設定
=back
=item [@lines =] $jcode-E<gt>jfold([$width, $newline_str, $kref])
$width(デフォルト:72)毎にjcode文字列内の行を折り返します。
$widthは”半角”文字の数です。全角文字は2文字としてカウントします。
$newline_str(デフォルトは"\n")で指定された改行文字が加わります。
折り返された全行をリストで返します。
Perl 5.8.1以降は3番目の引数$krefにEUCの文字列の配列リファレンスを
渡すことで、簡易的な行頭禁則処理(ぶら下がり)を行えます。
=item $length = $jcode-E<gt>jlength();
バイト長ではなく、全角文字も一文字として数えた場合の文字数を返します。
=back
=head2 MIME::Base64を使うメソッド
下記のメソッドを使うには、L<MIME::Base64>が必要です。インストールは単純に
perl -MCPAN -e 'CPAN::Shell->install("MIME::Base64")'
とします。お使いのPerlが5.6以降であるなら、L<MIME::Base64>は
バンドルされているので、インストールの必要はありません。
=over 2
=item $mime_header = $j-E<gt>mime_encode([$lf, $bpl])
$strをRFC1522にあるMIME-Headerに変換します。$lfを指定すると、
行の折り返しに$lfが使われます(デフォルト:\n)。
$bplを指定すると、折り返すバイト数に$bplが使われます(デフォルト:76;
この数値は76以下でなければなりません)。
Perl 5.8.1以降では、以下のようにしてもMIME Headerエンコードができます:
$mime_header = $j->MIME_Header;
この場合C<$mime_header>の戻り値はMIME-B-encoded UTF-8になります。
一方、C<< $j->mime_encode() >>はMIME-B-encoded ISO-2022-JPを返します。
最近のほとんどのメーラーはどちらもサポートしています。
=item $j-E<gt>mime_decode;
Jcodeオブジェクトの内部文字列をMIME-Headerデコードします。Perl 5.8.1
以降なら、以下のようにして同じことができます:
Jcode->new($str, 'MIME-Header');
こちらの場合、ISO-2022-JPだけではなくUTF-8などにも対応しており、
さらにMIME B EncodingのみならずMIME Q Encodingにも対応している
ので、Perl 5.8.1以降であればこちらを使うべきでしょう。
=back
=head2 半角 ←→ 全角
=over 2
=item $j-E<gt>h2z([$keep_dakuten])
X201カナ(半角)をX208カナ(全角)に変換します。
$keep_dakutenに真値をセットすると、濁点をそのままにします
(これはつまり、「カ+゛」は「ガ」に変換されずにそのまま
になるということです)
$j->nmatchを通じてマッチした数を取得できます。
=item $j-E<gt>z2h
X208カナ(全角)をX201カナ(半角)に変換します。
$j->nmatchを通じてマッチした数を取得できます。
=back
=head2 正規表現エミュレータ
C<< -E<gt>m() >>とC<< -E<gt>s() >>を使うには、Perl 5.8.1以降が
必要です。
=over 2
=item $j-E<gt>tr($from, $to, $opt);
JcodeオブジェクトにC<tr/$from/$to/>を適用します。$fromと$toは
EUC-JPの文字列です。Perl 5.8.1以降では、flag付きのUTF-8文字列
も受け付けます。
C<$opt>をセットすると、C<tr/$from/$to/$opt>が適用されます。C<$opt>は
'c'、'd'あるいはそれらの組み合わせでなければなりません。
$j->nmatchを通じてマッチした数を取得できます。
Perl 5.8.1以降では、trの形式に誤りのあった場合に-E<gt>error_trを通じて、
$@を取得できます。
以下のメソッドはPerl 5.8.1以降でのみ利用可能です。
=item $j-E<gt>s($patter, $replace, $opt);
個々にC<s/$pattern/$replace/$opt>を適用します。C<$opt>は正規表現オプションと
同じです。正規表現のオプションについてはL<perlre>を参照ください。
C<< $j->tr() >>、C<< $j->s() >>はそのオブジェクト自身を返すので、
以下のように操作を連結できます。
$j->tr("A-Z", "a-z")->s("foo", "bar");
=item [@match = ] $j-E<gt>m($pattern, $opt);
C<m/$patter/$opt>を適用します。このメソッドは”オブジェクトを返さない”
ので、C<< $j->s() >>のようにメソッドを連結できないことに注意してください。
正規表現の形式に誤りのあった場合、-E<gt>error_m、-E<gt>error_sを通じて
$@を取得できます。
=back
=head2 インスタンス変数
もしJcodeオブジェクトのインスタンス変数にアクセスしたいなら、直接それら
にアクセスするのではなく、アクセスメソッドを利用しましょう(これぞOOP
です)。
参考までに、Jcodeは(一般的な方法である)ハッシュリファレンスの代わりに、
配列リファレンスを使うことで、スピードを最適化しています(実際のところ、
アクセスメソッドを使う限りこのことを知る必要はありません; もう一度
いいますが、これはOOPなのです)。
Perl 5.8.1以降では、ハッシュリファレンスを使うように変更されました。
これにより、Jcodeの拡張はものすごく簡単になります。
=over 2
=item $j-E<gt>r_str
EUC文字列へのリファレンス。
Perl 5.8.1以降ではUTF-8フラグの立ったUTF-8文字列へのリファレンスです。
=item $j-E<gt>icode
直近の操作における入力文字コード。
=item $j-E<gt>nmatch
マッチした数($j->tr等を使ったとき)。
=back
=head1 サブルーチン
=over 2
=item ($code, [$nmatch]) = getcode($str)
$strの文字コードを返します。返るコードは以下の通りです。
ascii Ascii (日本語コードを含まない)
binary Binary (テキストファイルではない)
euc EUC-JP
sjis SHIFT_JIS
jis JIS (ISO-2022-JP)
ucs2 UCS2 (Raw Unicode)
utf8 UTF8
スカラーコンテキストの代わりに配列コンテキストを使うと、何文字分の
コードが見つかったのかも返します。上の方で述べたように、$strは\$str
でも構いません。
B<jcode.pl 利用者の方へ:> この関数はjcode::getcode()と100%上位互換が
あります。――まあ、ほぼ100%;
* 戻り値が配列のとき、その順番は逆となります;
jcode::getcode()は$nmatchを最初に返します。
* jcode::getcode()は、EUC文字とSJIS文字の数が等しいとき、'undef'を
返します。 Jcode::getcode()はEUCを返します。これはJcode.pmには
中間がないためです。
=item Jcode::convert($str, [$ocode, $icode, $opt])
$strを$ocodeで指定した文字コードに変換します。$icodeも指定すると、
入力文字列をgetcode()でチェックする代わりに、$icodeと仮定します。
上の方で述べたように、$strは\$strでも構いません。
B<jcode.pl 利用者の方へ:> この関数はjcode::convert()と100%上位互換が
あります!
=back
=head1 バグ
Perlが5.8.1以降の場合、JcodeはL<Encode>のラッパーとして振る舞います。
つまり、JcodeはEncode内のバグの影響を受けます。
=head1 謝辞
このパッケージは、動機、デザインそしてコードの多くの点で、
歌代 和正 <utashiro@iij.ad.jp>氏のPerl4ライブラリjcode.plに負っています。
大崎 博基 <ohzaki@iod.ricoh.co.jp>氏は、開発の非常に初期の段階から
正規表現を磨きあげる手助けをしてくれました。
makamaka@donzoko.net の JEncode には、JcodeとEncodeをどう融合させれば
いいか大変大きな啓示を受けました。また、本日本語マニュアルも寄贈して
いただきました。
そしてJcode ML <jcode5@ring.gr.jp>の皆さん。この方達なしには、
ここまで完成しなかったことでしょう。
=head1 参考
L<Encode>
L<http://www.iana.org/assignments/character-sets>
=head1 著作権
Copyright 1999-2005 Dan Kogai <dankogai@dan.co.jp>
This library is free software; you can redistribute it
and/or modify it under the same terms as Perl itself.